ルワンダの子供達に一万個の卵を届ける
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アフリカルワンダから直接仕入れたコーヒーを販売し、その利益をルワンダに還元する活動をしています。
テイケイコーヒーのBobです。
テイケイコーヒーの目的は、美味しいルワンダのコーヒーを日本の方々にお届けするだけではありません。
コーヒーの販売利益を活用してルワンダの発展に貢献し、コーヒーをつくる側にとっても、飲む側にとってもプラスになる、そんなつながりをつくることを目指しています。
その活動の一環として、特に力を入れているのが、ルワンダの子どもたちへの栄養支援です。
現在は、コーヒーが作られているルリンド郡の村々を対象に、子どもたちのタンパク質源として、卵を配る活動を行っています。
そして今回の三か月のルワンダ滞在で、3つの村、約60人の子どもたちを対象に、約10か月間で合計10,800個の卵を届ける取り決めを結ぶことができました。
今回は、この卵配布活動について少し詳しく書いてみたいと思います。
そもそも、なぜ卵を配っているのか
ルワンダをはじめ、サハラ以南アフリカの一部の地域では、子どもの栄養不足が大きな課題の一つになっています。
特に幼少期の栄養状態は、身体の成長だけでなく、その後の健康や発達にも大きく関わります。
詳しいことはこちらの記事にまとめていますが、簡単に言えば、幼い時期に十分な栄養を取れないことが、その後の成長や学習、さらには将来的な生活にも影響する可能性があります。
そして、栄養を考えるうえで重要なのがタンパク質です。
ルワンダの農村部では、豆などの植物性食品が重要なタンパク質源になっています。
一方で、肉や卵などの動物性食品は、価格などの理由から、毎日の食事に十分取り入れることは難しいのが現状です。
そこでテイケイコーヒーでは、子どもたちに動物性タンパク質を届ける方法として、卵の配布を始めました。
卵は比較的扱いやすく、タンパク質だけでなく、子どもの成長に必要なさまざまな栄養素を含んでいます。
また、卵を継続的に摂取することと子どもの栄養・発育との関係については、これまでにも研究が行われています。
もちろん、卵を配ればすべての問題が解決するわけではありません。
それでも、毎日の食事に一つの動物性食品を加える。
その小さな積み重ねから始めることにしました。
子どもの成長は、その国の将来にもつながります。
コーヒーを飲む人と作る人がつながり、一緒に未来を歩んでいくことを目指すテイケイコーヒーだからこそ、コーヒーが作られているルリンド郡の子どもたちに、直接還元していきたいと考えています。
では、卵をどこから買い、どうやって届けるのか
活動を始めるにあたって、実は最初に問題になったのが、
「そもそも、その卵をどこから買うのか」
ということでした。
私がずっとルワンダに滞在し、現地の銀行口座を使って自由に現地通貨を扱えるのであれば、必要な分を市場などでその都度購入することもできます。
しかし現実は、日本でコーヒーを販売したり、講演活動をしたり、活動費を捻出するために一時的なアルバイトをしたりと、一年の大半を日本で過ごさなければなりません。
そのため、ルワンダにいられるのは一年のうち限られた期間だけです。
そこで必要になったのが、
-
安定して大量の卵を供給できる
-
まとめて購入できる
-
できれば前払いで一括購入できる
-
きちんと村まで届けてもらえる
という条件を満たす、信頼できるパートナーでした。
かなりハードルが高いようにも思えます。
しかし、私には以前から一つの当てがありました。
私は以前、JICA海外協力隊としてこのルリンド郡で活動していました。
その中で、ルリンド郡にある大きな食品加工会社と一緒に活動をしていたこともありました。
その会社は農場から生産工場まで一貫して運営しており、牛乳や果物などの農産物から、ジャムやジュースなどの加工品、さらにパンやレストランで提供する食品まで幅広く扱っています。
もちろん、卵も販売していました。
それを思い出し、今回のルワンダ渡航後、すぐにその会社を訪ねました。
昔から知っている製造担当のマネージャーと、食品販売部門のマネージャーに今回の計画を説明すると、こちらの考えをすぐに理解してくれ、快諾してくれました。
さらに、代金の支払いは前払いで、かつクレジットカードを使うことができました。
大量の現金を用意して持ち歩く手間やコスト、リスクを取らずに済んだのは、本当に大きなことでした。
これで、まず「どこから卵を買うか」という問題は解決しました。
でも、村の子どもたちにどうやって配る?
「村の子どもたちに卵を配る」と言っても、実はこれが簡単ではありません。
村には、住民の健康管理を担当している人がいて、幼児を持つ家庭の名簿もあります。
しかし、一人ひとりの家庭に卵を配って回るのは時間がかかります。
そして、それを毎日毎日続けるのは現実的ではありません。
また、ルワンダに限らず、食べ物を配給する活動には、いくつかの難しさがあります。
生卵をそのまま配れば、生活が厳しい家庭にとって、本来子どもたちが食べるはずの卵を売って現金に換えるということも、決して珍しいことではありません。
また、せっかく家庭に届いたとしても、家族の中で子どもよりも大人や客人など、優先される人が食べることもあります。
だからこそ、「卵を配ればいい」というものでもありません。
では、ゆで卵にして配ればいいのか。
それも簡単ではありません。
ルワンダの農村部の家庭には冷蔵庫はなく、ゆで卵を保存しておくことはできません。また、卵を一度に大量に調理するための設備や環境も必要になります。
どうすれば、確実に子どもたちの口に届くのか。
これは、食料や栄養を届ける支援活動において、常に考えなければならない難しい問題です。
しかし、私の場合、ここでも以前の経験が役に立ちました。
近年のルワンダでは、3歳から5歳程度の幼児を対象に、各村毎に幼稚園のような施設が設置されています。
そこでは政府のカリキュラムに沿った授業が行われるほか、政府から配給された小麦、トウモロコシ、大豆などの穀物をブレンドした粉をお湯で溶かし、半固形のおかゆ状にした「イジコマ」も調理されています。
そこで、
「卵を幼稚園に届け、イジコマを調理するタイミングでゆで卵を作り、一緒に子どもたちに食べてもらう」
という方法を考えました。
さらに、食品加工会社から村までの配達については、複数の村を統括している「セル」という行政区画の区長にも協力してもらい、配送手段を手配してもらえることになりました。
こうして、地域の公的な立場にある人にも協力してもらうことで、私個人が一方的に卵を配るのではなく、村全体としてこの活動を支えてもらう形にしていきました。
これで、
どこから買うか。
どうやって届けるか。
どうやって子どもたちに食べてもらうか。
この仕組みができました。
まずは、一つの村から
しかし何事も実際に回してみなければ分かりません。
そこで、私が以前から住んでいて、最も馴染みの深いウブモ村を対象にしました。
セルの事務所もある村です。
まずは幼稚園の園児20人を対象に、月曜日から金曜日まで、一人一日一個食べられるよう、週100個、4週間で合計400個の卵を購入し、配布を開始しました。
祝日があったり、配達を手配してくれるはずの区長が忙しかったりして、決まった曜日に届くとまではいきませんでしたが、それでも、毎週必ず卵を届けてもらうことはできました。
そして、実際にやってみて初めて分かったこともありました。
幼稚園に登録されている子どもは確かに20人なのですが、20人全員がそろう日は一度もありませんでした。
時には半分以下しか来ない日もあります。
このままでは、用意した卵が余ってしまう。
そこで、ウブモ村の健康管理を担当している村人に相談しました。
そして、毎日調理する20個のゆで卵のうち、幼稚園に来なかった子どもの分を、まだ幼稚園に通う年齢になっていない3歳未満の子どもたちに届けてもらうことにしました。
結果として、当初想定していたよりもさらに小さな子どもたちにも、卵を届けることができるようになりました。
一つの村から、二つの村へ
4週間の配布を無事に終えたところで、次は隣の村を一つ増やしました。
先ほど述べた実際の出席状況も踏まえ、配布する卵の数を調整し、
一つの村につき週90個。二つの村で合計180個を、4週間分、合計720個購入して届けてもらいました。
ところが、ここでも新しい問題が出てきました。
前回にもあった区長の手配忘れ。
さらに、二つの村に90個ずつ届けてもらう予定だったものが、180個すべてを一つの村に届け、隣村の人がそこまで取りに行くというケースもありました。
一つの村だけなら何とか回っても、対象地域を広げれば広げるほど、物流の問題が大きくなります。
そこで、食品加工会社に配達員を手配してもらい、その費用はこちらで負担することで、確実に届けてもらう仕組みに変更しました。
さらに対象の村を増やす際には、さすがにすべての村へ個別配送するのは難しいことから、食品加工会社からセルのオフィスまでまとめて届けてもらい、そこから各村の担当者に取りに来てもらう方式へ変更しました。
こうして、少しずつ仕組みを改善していきました。
そして、1万個へ
そして今回のルワンダ滞在も終盤に差し掛かったところで、食品加工会社に、私が来年またルワンダに戻ってくるまでの間の期間配る卵を、まとめて購入できないか相談しました。
さらに、今回対象となる村を一つ増やします。
3つの村、約60人の子どもたち。
3つの村それぞれに毎週90個、合計270個。
これを約10か月、40週間にわたって届けてもらいます。
つまり、
90個 × 3村 × 40週間 = 10,800個。
今回、合計10,800個の卵を届ける契約を結ぶことができました。
これで、私がルワンダを離れて日本に戻っても、3つの村の子どもたちに卵を届ける仕組みを残すことができます。
次に私がルワンダへ戻ってくるのは、来年です。
それまでの間も、この仕組みが動き続けることになります。
もちろん、まだ始まっていない部分もあります。
実際に運用を始めれば、また新しい問題が出てくるかもしれません。
しかし、今回の活動を通じて、食品加工会社、行政、村の健康管理担当者、そして村人と多様な人をこの活動につなぐことができました。
日本に戻ってからも、現地と密にコミュニケーションを取りながら、きちんと卵が子どもたちのもとへ届いているか、フォローアップしていきたいと思っています。
長期的に成し遂げたいこと
テイケイコーヒーの活動は、まだ1期目。
この卵配布も、始めたばかりの小さな試みです。
現在は売上規模もまだ小さいため、届けられるのは3つの村だけです。
しかし、将来的には対象地域を少しずつ広げ、セル全体、そして最終的にはルリンド郡全体へと広げていきたいと考えています。
ただ、対象地域が大きくなれば、当然必要になる卵の量も増えます。
将来的には、年間で数百万円規模の卵が必要になる可能性もあります。
その費用をコーヒーの利益だけで支え続ける方法もあります。
しかし、私にはその先にやりたいことがあります。
この地域で、自分たちで養鶏を始めることです。
養鶏場を建設し、地域の人を雇用する。
そこで生産した卵を子どもたちへの配布に使う。
さらに余った卵を販売し、その売上を飼料代や維持費に回す。
そうすれば、単に外から卵を買って配るだけではなく、地域の経済にも貢献する仕組みを作ることができます。
そして、もう一つ考えていることがあります。
養鶏をすれば、鶏糞が出ます。
それをコーヒー農家に還元し、肥料として活用する。
そうすれば、
子どもの栄養改善
↓
養鶏による雇用創出
↓
卵の販売による収益
↓
鶏糞のコーヒー農家への還元
↓
コーヒー生産の改善
↓
もっとおいしいコーヒーを日本に届ける
という好循環も作れるかもしれません。
まだまだまだ先の話です。
養鶏場を建てるにも、設備を整えるにも、人を雇うにも、お金が必要です。
さらにコーヒーの品質改善も、農家さん達、加工場のオーナー、地域の農業技官など巻き込まなければいけない人がたくさんいます。
今のテイケイコーヒーの規模では、とてもすぐに実現できる話ではありません。
それでも、私はこうした仕組みをいつか実現したいと思っています。
一杯のコーヒーから、どこまでつながるか
テイケイコーヒーが目指しているのは、単に「ルワンダを支援するコーヒー」ではありません。
日本で飲まれる一杯のコーヒーが、ルワンダでコーヒーを作る人につながり、そこで生まれた利益が子どもたちの栄養につながり、さらに将来的には雇用や地域産業にもつながっていく。
そんな地域が少しずつ発展していく仕組みを、コーヒーをご購入くださる皆さまと一緒に、少しずつ作っていきたいと考えています。
今回、その一つの節目として、1万個の卵を届けるところまで来ることができました。
もちろん、1万個はゴールではありません。
むしろ、まだ始まったばかりです。
そして、その活動を支えているのは、日本でコーヒーを飲んでくださる一人ひとりです。
テイケイコーヒーでは、ルワンダの高品質なアラビカ豆を中深煎りに仕上げ、すっきりとした飲みやすさの中に、じんわりとした甘みを感じられるコーヒーをお届けしています。
毎日の一杯を楽しみながら、その一杯の先にいる人たちともつながっていく。
そんなコーヒーを、ぜひ一度飲んでみてください。